Fリーグ得点王ランキングから学ぶ勝つ為のチーム作り

フットサル
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2017-2018のFリーグは苦しいプレーオフを勝ち抜いたペスカドーラ町田をリーグ優勝した名古屋オーシャンズが軽く蹴散らすという構図で幕を閉じた。

今シーズンのFリーグでは名古屋以下のチームに大きな戦力差は無くリーグとしてみれば優勝チーム、それを追う第2グループ、そして残留争い組と分かりやすい形となっていた。

特に勝ち点移動で予想も出来ないような試合は少なく多少の誤差はあれど各チームがポテンシャルから考える順位付近を彷徨い落ち着いたのではないだろうか。

 

この記事では順位ランキングとゴールランキングから、強いチームの特徴を洗い出してみようと考察する記事である。私見が混じりますので否定的な意見もあると思いますが、あくまでも1つの意見としてお楽しみください。

 

 

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圧倒的な存在感と決定力で府中・渡邊が牽引したゴールランキング

 

今シーズンのランキングで先頭でゴールテープを切ったのは府中の渡邊だった。例年、助っ人外国人が上位を独占する中で2位以下に10ゴール差をつけてFリーグ得点王の座を手に入れた。

渡邊のプレースタイルは誰でも分かりやすいオーソドックスなピヴォスタイル。コート中央に陣取りボールを引き出し反転シュート、もしくは外に展開してからのファー詰めでゴールを狙う。セットプレーのシューターとしても高い能力を持っており浮き球からのボレーシュートはFリーグでも随一の精度を誇り敵チームの脅威となっている。

渡邊本人はゴールから遠い位置で前を向いてドリブルからシュートを狙う仕掛けタイプ(森岡薫が代表的)ではない為、独力でシュートチャンスを生み出しにくいのだが、今シーズンはチームの徹底的なサポートもあり様々な得点パターンでゴールを量産した。

 

渡邊を追撃していた2位~5位に位置する5人の外国人は各チームのエース級の選手ばかりで、計算された働きと言ってもいい数字を叩き出している。以下に付けたエスポラーダ水上、フウガ清水、ペスカドーラ森岡と例年ゴールランキングで奮闘する日本人選手達の名前もあったが、今シーズンは助っ人外国人達に上位を奪われてしまう形となった。

 

 

本当に効率的なのはピヴォ当てからか、外からの仕掛けなのか?

 

今シーズンのゴールランキングの上位を見るとピヴォの選手がとにかく多い。渡邊、ヴィニシウス、ラファ、水上、清水、ヴァルチーニョと水上以外はパワーと技術でゴールを狙うタイプで、10位以下に名を連ねる森岡やボラ等も同様である。

森岡やボラはプレースタイルの変化や所属チームでの事情等もあり、常にピヴォで、、、という訳では無いが元々はパワー系のピヴォである。(上位の選手たちもピヴォ以外でもプレー出来る巧さやユーティリティも持ち合わせており戦術的にポジションを変えているというのも踏まえた上で、その選手の基本的なキャラクターがピヴォであると判断している)

 

ランキングトップの渡邊はオーソドックスな前線に張るタイプのピヴォだが、それ以外の選手は背負っても良し、前を向いても良し、セットプレーも蹴れる選手が多い。やはりオーソドックスなピヴォよりも攻撃バリエーションを多く持った選手の方がランキングに絡みやすいのだろうか。

 

今シーズンのゴールランキングを結果論で

張ってくるタイプの選手にはある程度の対策が立てやすい反面、相手の対策に応じて様々な形で仕掛けられる万能型の選手は相手の厳しいマークを掻い潜りやすいのではないかと推測できる。

時には右サイド、時には左サイドと勝負場所を変えながらチャンスを狙える万能型の存在はチームにとっての影響も大きいのではないかという結論に至った。

 

 

 

チームの順位に大きく影響するゴールゲッターの性質

圧倒的得点王?フィニッシュ依存?

 

今シーズン、得点王に輝いた渡邊の所属する府中アスレティックの最終順位は6位、そして総得点は111。実に府中の得点の3分の1を一人で決めたという事だ。しかしゴールランキング上位に府中アスレティックの選手の名前は渡邊以外には見当たらない。1位の渡邊の次に府中の選手の名前が出るのは27位の柴田と皆本となる。二人の得点は13ゴールとなっており、今シーズンの府中にとっては少しい寂しい結果となった。6位でフィニッシュした府中には、渡邊の存在が文字通りの救いだった様だ。

渡邊の得点力に関しては疑う余地は無い。45ゴールという数字はマグレやラッキーの類では到底辿り着けるものではなく、毎試合コツコツと得点を重ねて来た結果である。

しかしチーム的に言えば渡邊のフィニッシュに対しての依存度が高く、チームとしての得点力が低く6位という結果をもたらしたのではないかと私は仮説を立てた。

府中のフットサルは技術的な部分よりも、選手個々のパーソナル的な部分(特に体のサイズや身体能力)を活かした点が特徴だと私は捉えている。ゴール前を有効に使うピヴォ当てと、個で打開できる選手のチャンスメイクが中心となる。戦術的にも国内有数のピヴォである渡邊のタスクは重要で替えが利かない選手である。しかし、それが機能した半面、渡邊以外でゴールを取れる選択肢が弱かったのではないかという考えに辿り着いた。

ただ、一人の選手に依存するのが悪い事では無い。しかし、フットサルという競技では一人の選手がコートに立ち続け、高いパフォーマンスを維持し続けるのはとても難しい。2セット以上の運用をするチームも多い。他の選手よりも長くコートに立つ選手はいたとしても、大半の選手が試合の半分の時間をベンチで過ごすのが一般的である。その為、得点源が2つ以上あるというのが重要なのである。

コートに脅威となる選手がいなければ対戦する相手はどうだろうか。きっと優位にゲームを進められるのではないだろうか?良く、「強いチームは点を取れる人間がたくさんいる」という話を聞いたりするが、まさにその通りでゴールゲッターの数がチーム力に大きく影響する要素だと私は考えている。

 

ゴールゲッターが複数いるメリット、その相乗効果

セット運用を行うことが主流となっている現代フットサルでは、それぞれのセットにゴールゲッターがいるというのが相手の脅威になり自分たちの強みになるのは明白だ。そもそも得点能力の高い選手というのは希少な為、そういった選手をセットに上手く組み込む事で対戦相手の注意を引き付け、そこから生まれた相手のズレに付け込むというメリットも考えられる。もちろん得点が欲しい状況で、普段は別のセットでプレーしている得点能力の高いゴールゲッターを同時にピッチに立たせ、攻撃力を高めるという手段にも出ることが出来る。

当たり前ではあるが、一人の選手に依存することなくゲームを進められるのはチームにとって大きなアドバンテージである。

 

両サイドからのチャンスメイク、左利きの重要性

順位表を見ると名古屋オーシャンズ、ペスカドーラ町田、湘南ベルマーレ、フウガドールすみだ、シュライカー大阪の上位に入った5チームの内、3チームには名古屋のラファ、湘南のロドリゴ、シュライカーのヴィニシウスと左利きのゴールゲッターが所属している。逆に中位以下になると点を取れる左利きの選手が少ない傾向にある。

フットサル競技の性質上、左利きのメリットは数多く存在し対戦相手からのケアが難しいのは言うまでもない。点を取れる左利きの存在はチームにとってのストロングポイントである。

 

45点を取れるエース < 15ゴール×3人

 

得点ランキングと順位表を見ると大量のゴールを生み出す一人のエースよりも、ランキングトップには及ばずともある程度のゴールを奪える選手を複数人抱えたチームの方が好成績だということ。

これは仮説だがやはり絶対的なエースに対しての対応というのは敵からすれば分かりやすく難しくはないのではないかと考えている。絶対的な選手がいれば対戦相手がそこをケアしてくるのは当然であり、その選手を中心に攻めるチームであればそこにストレスが生まれるのも必然である。

やはり得点が分散しているチームの方が上手く立ち回れるのではないかと考えている。戦略的なバリエーション、相手にかかるストレス、、、、そういった立ち回りでの優位が采配やベンチワークに余裕をもたらしチームとして良い結果をもたらすのではないだろうか。

 

 

 

 

優勝に導くチーム作り、メンバー構成

 

結果からの結論だが、やはり複数のゴールゲッターがいること、左利きのゴールゲッターがいること、そして万能型のゴールゲッターがいることというのが勝つチームの要素ではないだろうかと推測する。

やはり攻めのバリエーションの多さが、敵にとってのストレスになるのは間違いない。絶対的なエースを中心としたチーム作りよりも、複数の好選手で戦略的なバリエーションを組めるチーム作りの方が結果を出しやすいのではないかと考えている。

一人の選手が年間を通して怪我をせずにハイパフォーマンスを継続するというのはとても難しい事で、選手層が充実していればシーズン中の選手の好調不調の波も対応できるので、後者が明らかに好ましい。

今回、上位に進出したチームの多くがゴールランキングに複数の選手を送り込んでいる。今は一人のエースよりも組織としての完成度でリーグを戦う時代である。

 

優勝した名古屋のペドロ・コスタ監督が「点の取れる選手を補強した」というのはフットサルの本質の様なもので、サッカーとは違いシュートまでのプロセスが短くシュートトライが多いフットサルではやはり攻撃性能の高い選手がゲームの結果を左右する。つまり3人の外国人がそれぞれ与えられた仕事をこなした名古屋の勝利は必然であり、そのクオリティが同じように複数人の外国人選手を抱えるシュライカーよりも上回っていたのが名古屋の優勝の要因だと、私は考えている。

 

まずは軸となる選手の存在が強いチームを作るには欠かせない。助っ人文化によって日本フットサル界が成り立ってしまっているのは少し寂しいが、点を取れる選手を補強することが出来る名古屋の資金力は図抜けており、まだしばらくは名古屋の優位は変わらない気がしている。

 

リベンジを誓う各チームが、それぞれどんな対策を立ててどんな補強をするのかが本当に楽しみである。

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